40代になって
40代男はオジサンだろう。オジサンの考えなど、やっぱりオジサンだよねって煙たがられるだろう。
でも40代になって、若い頃には気づかなかったことに気づけるようになったのは事実だ。
自分の能力の限界を、悲観的な意味ではなく、肯定的な意味で捉えられるようになったのは大きいと思う。
自分には何ができて、何ができないのか、これが若い頃にはわからなかった。
とにかくできることを増やすことだけを考えていた。
確かに、努力すれば努力した分だけ成果が上がっていると感じる時期があった。
努力の苦労さえ乗り越えれば、人生はこのまま思い通りに進んでいくはずだと理想を信じていた。
でも、やっぱり壁はあった。
どうしても乗り越えられない壁というものがある、という人生の真実の毒杯が身体中を駆けめぐり苦しめ続けた。
長かった。
現実と格闘している長い年月を経て(自分の場合は20年)、いつのまにか毒杯が滋養に変わっていた。
できないことはやっぱりできない。
が、自分にできることも、ある。
たったそれだけのことを気づくのに20年もかかった。
自分は自分にできることを地道にやっていくだけだ。それで地獄に行っても、その時はその時でしょうがない、諦めようと、肚が座ったとき、どこからか光がやってくるように感じた。
今はその光のもとで世界を見ている。